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風邪でも処方されるジスロマックや抗生物質についてのあれこれ

2015.4.13

最近よく処方されるジスロマックという薬がどのような薬か調べてみました。

また、抗生物質のことを知っているようで案外よくわかっていない人が多いようです。

まず抗生物質とは

病院で、抗生物質を処方されたことのある人も多いのではないでしょうか。

この抗生物質、意外と、きちんと理解せずに吞まれている方も多いようです。

医薬品として使用される抗生物質には、当然のことながら、副作用もあります。

適切な方法で服用しなければ、人体に悪い影響が生じることもあります。

そうならないためにも、抗生物質についてきちんと理解した上で、適切な方法で服用する必要があります。

抗生物質とは、もともと、カビや放線菌などの微生物から抽出された物質をいいます。

この物質は、他の微生物や細胞の発育その他の諸機能を阻害する働きをするもので、これを微生物から取り出し、薬としたものを抗生物質と総称するのです。

近年では、化学的に合成することで、同様の働きをする薬を作ることができるようになったので、抗生物質も含めて、抗菌薬と呼ぶこともあります。

さて、この抗生物質ですが、ほとんどの場合、風邪には効果がありません。

抗生物質は、あくまで細菌に干渉するものであるところ、風邪の多くは、ウイルスが原因で引き起こされるからです。

ウイルスに干渉できるのは抗ウイルス薬です。

風邪を引き起こすウイルスには多くの種類があります。

また、一部ではありますが、細菌によって引き起こされる場合もあります。

例えば、ヘルパンギーナや手足口病、麻疹、水疱瘡、インフルエンザなどは、ウイルスによって引き起こされるため、抗生物質は効きません。

溶連菌感染症、百日咳、マイコプラズマなどは細菌によって引き起こされるため、抗生物質が効きます。

一見、風邪の症状しか現れていない場合に、その原因が、細菌によるものか、ウイルスによるものか、どのウイルスによるものかを判断するのは、容易ではありません。

そのため、抗生物質が処方されるのは、一般的な細菌感染の場合の症状(黄色や緑色の濁った鼻水や痰がでるなど)がみられるときや、ウイルス感染と思われる場合でも、お年寄りなど体の弱い人が、抵抗力が弱まることで別の細菌に感染するのを防ぐ目的のときなどに限られます。

ジスロマックとは

抗生物質の一つとして、ジスロマックというものがあります。

ジスロマックは、アジスロマイシンという成分が入った、マクロライド系の抗生物質です。

細菌の増殖には、たんぱく質の合成が必要であり、たんぱく質の合成は、リボソームという部分で行われます。

ジスロマックは、このリボソームの働きを抑えることで、たんぱく質の合成を阻害し、細菌の増殖を防ぐのです。

高濃度で投与すれば、殺菌効果もあります。

ジスロマックは、他のマクロライド系の抗生物質と比べて、副作用や相互作用が少なく、また、様々な細菌に効能を発揮するため、多くの科で使用されます。

例えば、肺炎球菌、レンサ球菌、アジスロマイシンに感性のブドウ球菌、プレボテラ、ペニシリン系やセフェム系では効かないマイコプラズマ、クラミジアなどの多くの細菌に効果があることから、耳鼻咽頭科、耳鼻科、小児科、呼吸器内科、歯科、皮膚科などで広く使用されています。

よく耳にするものですと、歯周病、副鼻腔炎、性器クラミジア感染症などの治療に使用されることが多いといえます。

ジスロマックの特徴

先述の通り、ジスロマックは、他のマクロライド系の抗生物質と比較して、副作用や相互作用が少ないという特徴があります。

ジスロマックは、他の薬剤と同様に、内服後、胃腸から吸収され、血液中に移動します。

その後、白血球と共に病巣に向かい、そこに留まり、効いてほしい部分に集中して効能を発揮することから、副作用が生じにくいのです。

その他の大きな特徴として、薬剤の効果の発現が早い点、効果持続時間が長い点が挙げられます。

病巣に向かったジスロマックは、そこに長く留まります。

長く留まるということは、服用する薬剤の分量を抑えられることに繋がります。

具体的には、分量にもよりますが、ジスロマックの服用後、約2時間で効果が表れ、その後60時間以上効果が持続するのです。

他の抗生物質の場合であれば、1日2回の服用を1週間行わなければならないところ、ジスロマックの場合、1日1回の服用を3日間行えば、効果が7日間から14日間持続するといわれます。

また、薬剤であるからには、当然副作用もゼロではありません。

ジスロマックには、胃腸を動かす作用があるため、腹痛や下痢などの消化器症状が主な副作用になります。

しかし、他の抗生物質と比べれば、副作用は少ないといえるでしょう。

小児科医から見たジスロマック処方の注意点

子供に対するジスロマックの投与について、とくに注意しなければいけないのは、マイコプラズマの場合です。

マイコプラズマは主に気道に感染する真性細菌です。

呼吸器系に感染すると、気管支炎や肺炎などを引き起こします。

とくに肺で増殖することから肺炎を引き起こしやすく、マイコプラズマ肺炎と呼ばれます。

肺炎球菌による肺炎とは異なります。

マイコプラズマ肺炎は、患者の8割が14歳以下の子供であるため、子供が罹りやすい病気といわれます。

マイコプラズマの感染の有無は、血液検査で診断できます。

大人の場合、特徴的な所見から診断することもありますが、子供の場合、風邪と区別しにくいため、一般的には血液検査で診断します。

マイコプラズマには、マクロライド系の抗生物質しか効果が出ません。

クラリスやジスロマックがこれにあたります。

しかし、近年、マクロライド系の抗生物質が効かないマイコプラズマ肺炎が多くみられるようになっています。

いわゆる耐性マイコプラズマの問題です。

薬剤耐性菌については、後述するため、ここでは簡単に説明します。

抗生物質が効かないとはどういうことかというと、日頃からマクロライド系の抗生物質を投与していたために、マイコプラズマが耐性を身に付け、マクロライド系の抗生物質が効かない、あるいは効きにくい状態になっているということです。

マイコプラズマにはマクロライド系しか効かないため、小児科医は、日頃は、気軽にジスロマックなどのマクロライド系抗生物質を使用しません。

ジスロマックなどの抗生物質の耐性を備えてしまうと、いざというときに効かなくなり、マイコプラズマの治療ができなくなってしまいます。

ジスロマックが効かなければ、大人にとっても副作用の強い、他の抗生物質を子どもに投与することになるのです。

間違った抗生物質の飲み方をすると、薬が効かない体になる

薬剤、とくに抗生物質などに対する抵抗性を持ち、薬剤が効かなくなる、あるいは効きにくくなった細菌を薬剤耐性菌といいます。

MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)やPRSP(ペニシリン耐性肺炎球菌)などがこれにあたります。

薬剤耐性菌が増えるメカニズムには、抗生物質などの抗菌薬の使用が深く関わっています。

抗菌薬を使用していない環境下でも、体内には、ある程度の耐性菌が存在しています。

これらの耐性菌は、いわば突然変異種であり、何もしなければ、自然に淘汰されていきます。

ところが、耐性菌とそれ以外の菌が混在しているところに、抗菌薬を使用すると、耐性菌以外の菌が死滅し、耐性菌だけが残った状態になります。

そして、抗菌薬に対する抵抗性を備えた耐性菌が増殖するのです。

耐性菌増殖を抑えるためには、耐性菌が発生しやすい環境を生み出さないようにすることが大切です。

耐性菌は、次のような環境下で発生しやすくなります。

①抗菌薬の低濃度投与
投与する薬の濃度が低いと、菌が完全には死滅せず、病原菌が抗菌薬に徐々に慣れていきます。

②抗菌薬の使用中断
治療が終わる直前で抗菌薬の投与を中断すると、耐性菌だけが生き残った状態となり、感染症がぶり返すリスクが生じます。

③同じ抗菌薬の長期使用
同じ抗菌薬を使用し続けると、耐性菌発生の可能性が高まります。

病原菌に、一旦抵抗性が備わると、耐性菌が急速に増殖します。

そこで、いざというときに薬剤が効能を発揮できるようにするために、上記のような方法での投与を避けて、抗菌薬を使用する必要があります。

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